日本動物リハビリテーション学会
会長の挨拶
会長 徳力幹彦(山口大学名誉教授)
日本動物リハビリテーション学会について*名前を入れるため、高さ80pxでテキスト画像を作成
 日本の経済的発展と共に家庭で飼育される動物たちは家族の一員と考えられるようになりました。獣医療の立場から見ると、病気になったら動物病院に連れて行く・病気の予防をするなどのケアが当たり前になりました。更に少子化・核家族化が進む中で動物たちはかけがえのない存在となり、飼い主は自分と同じ医療をこの動物たちに受けさせたいと考えるようになってきました。特に整形外科的疾患や神経疾患の治療後に残された障害、また高齢などを原因とする機能低下など、これまでは治らないとあきらめていた問題に対し、より良い改善を積極的に望むようになったのです。 アメリカでは1960年代より動物のリハビリテーションに対する研究と実践が始まりました。すでに獣医師・動物看護師・理学療法士を対象に動物リハビリテーションに対する教育と試験を行って認定資格を出すしくみが構築されています。この現状を知った日本の獣医師と動物看護教育の有志が発起人となり、平成19年11月に日本最初の動物リハビリテーション集会が東京大学農学部講堂にて開催されました。そこで参加者の総意により日本動物リハビリテーション研究会が発足しました。

しかし発足当初よりこの研究会の方向性については紆余曲折がありました。動物リハビリテーション研究会の主たる会員は,獣医師・動物看護師・理学療法士ですが,動物リハビリテーションに対するこれら3者の知識,経験および役割がそれぞれ異なっていたこと,これまでの日本には動物のリハビリテーション・理学療法の経験が皆無に近かったことから,互いの意思疎通すらも難しかったのです。しかし,患者の視点で考えると,この3者が競合するのではなく,互いに協力しあって初めて動物リハビリテーションの効果が出てくることになります。そこでこの研究会は,あくまでもこれら3者のリハビリテーションに関する技術の普及および研究・開発の発表と協力的交流の場に撤することにしました。開設以来私たちは毎年2回の研究会を開催してまいりました。また毎年、年次大会の他にアメリカ・ベルギー・スイス・イギリス等の動物リハビリテーション先進国から講師を招いて,より具体的な理解を深める特別講演・実習を開催してきました。このような活動を通じて次第に3者の交流が進み、何を為すべきかが互いに理解される中で、より具体的な活動を行う必要性から,平成22年に研究会は日本動物リハビリテーション学会へと名称を変更致しました。また一般の飼い主に対しても、動物リハビリテーションが整形外科疾患や神経疾患の治療後の改善促進に必要なことが広く理解されるようになってきました。さらに,高齢動物の運動機能の劣化を抑制するなど,さらに多くの領域で利用されてくると考えられています。  

 しかし,獣医師,動物理学療法師,動物看護師が,それぞれ,どのような形で動物リハビリテーションにかかわっていくのかについては,今後の検討課題として残っています。そしてこの課題に付随してくるのが,動物リハビリテーション従事者に対する資格認定です。学会は責任を持ってこの資格認定制度を構築してまいりたいと考えています。このような活動を通じて、この学会は日本における動物リハビリテーションの研究・開発発表の場だけでなく、飼い主の皆様に信頼される医療行為としての動物リハビリテーションを構築する責任を持つ学会として、会員の皆様とともに歩んでいきたいと考えています。